ノミや疥癬、ニキビダニ（毛包虫）などの「外部寄生虫」と呼ばれる虫が原因でかゆみを引き起こすことがあります。

自宅の敷地に出入りする野良猫から移る場合もあります。ノミの唾液に対してアレルギー反応を引き起こして痒みが出ます。背中に症状が出る場合が多いのが特徴です。

疥癬は「イヌセンコウヒゼンダニ」というダニの寄生が原因です。

犬同士の接触や、野生動物の死体や巣への接触でも移る可能性があり、非常に強いかゆみを伴います。耳介に症状が出やすいです。ニキビダニは毛穴に寄生しており、健康なわんちゃんにも常在しています。免疫力が落ちた際に異常増殖して痒みを引き起こすことがあります。

ブドウ球菌やマラセチアなどの細菌・カビによる感染も痒みの原因です。これらは常在菌で皮膚に存在していても、免疫力低下や皮膚のバリア破壊により異常増殖し、痒みや皮膚の炎症を引き起こします。患部から膿や臭い、かさぶたができることもあります。

ハウスダストや環境因子、食物アレルゲンに対する反応で皮膚に痒みが出る場合があります。耳、目の周り、口の周り、指の間などに症状が出やすいです。

脂漏症、皮膚腫瘍、免疫疾患、薬疹など様々な原因で皮膚に痒みが出る可能性があります。早期の診断と適切な治療が重要です。

駆虫薬によって外部寄生虫を駆除します。この際に使用される駆虫薬は、「ノミダニ予防薬」として処方されるものと同じです。つまり、予防薬をしっかり継続することで外部寄生虫による皮膚症状は予防できます。フィラリア予防とあわせてノミダニ予防も忘れずに行うようにしましょう。

感染の範囲や度合いによって治療方法は異なります。シャンプーでの洗浄、外用薬、内服薬を組み合わせて治療を行います。皮膚のバリア機能を整えるために保湿剤を使用する場合もあります。

食物アレルギーが疑われる場合、アレルゲンとなるたんぱく質を避けた食事への変更を行います。食物アレルギー用の療法食を使用することが多いです。食事療法を確実に行うためには療法食以外のおやつや歯磨きガムなどを一切遮断する必要があり、家族全員で治療方針の共有がとても大切です。

環境因子でアレルギーが引き起こされている場合は、ハウスダストマイト（室内のダニ）を排除するために頻繁な掃除・洗濯、防ダニ製品の使用などが必要となります。食事や環境を変えても症状が落ち着かない場合は、長期的にかゆみ止めを服用することもあります。

皮膚に滴下するタイプやおやつ感覚のものなど沢山の製品があるので、一番投薬しやすいものをしっかりと継続しましょう！

わんちゃんのベッドやカーペットなど、ハウスダストマイトが好む場所は定期的に掃除をして清潔を保ちましょう。

定期的にブラッシングをすることで被毛を清潔に保ちます。また、ブラッシングを通じてわんちゃんの皮膚の異常にも気づきやすくなり、早期発見につながります。

【ブラッシングをするときのポイント】

• ・まず、愛犬の性格や毛の種類に合ったブラシを選びましょう。
• ・優しく声をかけながら、毛の流れに沿ってブラッシングします。
• ・もつれを見つけたら、無理に引っ張らずに優しく丁寧に解きほぐしましょう。
• ・特に毛が絡まりやすい部分（耳の後ろ、背中、尾など）は念入りに行います。

わんちゃんがブラッシングに慣れてくれずやらせてもらえない場合もあると思います。

そういった場合は無理強いはせずに時間をかけて根気強く、優しく接することが最も大切です。愛犬が安心してブラッシングできるようになれば、日々のケアもスムーズに進みます。少しずつ慣らしながら、楽しい時間にしてあげてください。

ストレスによって指先を噛んでしまう場合もあります。わんちゃんの性格や体力に合わせて十分な運動時間を確保し、ストレスをため込まない工夫をしましょう。噛み心地の良いおもちゃもストレス発散に役立ちます。

かゆみの治療は早めに行うことが非常に重要です。症状が悪化してからだと治療も難しくなる場合があります。普段からわんちゃんの様子を気にかけ、痒がる素振りがあれば早めに動物病院を受診しましょう。